Tシャツがモード界でベーシックアイテムとして登場したのは60年代のことでした。当時Tシャツはストリートでも受け入れられ、クリスチャン・ディオール、ニナ・リッチ、ジャック・エイムなどを始めとする様々なデザイナーズブランドがTシャツを発表するようになっていきました。その一方で既製服メーカーも様々な色やデザインのTシャツを製造するようになりました。
70年代前半ヒッピー達による「ラブ&ピース」運動や後半のパンクムーブメントなど、自由を求める思想とTシャツが見事にマッチした。それまでのメンズファッションとして捉えられていたTシャツを多くの女性達が着こなすようになりました。こういった流れの中でTシャツは多くのカラーやデザインが作られるようになりました。
80年代に入るとヴィヴィアン・ウエストウッドが、音楽や思想を背景にパンクファッションを確立し、ロックアーティストなどもTシャツを自分たちのスタイルとして着用するようになる。またスポーツウェアもストリートで受け入れられる一方でスーツ・ドレス・ワイシャツなど洗練された服も復活しました。ブランドロゴの入った高価なTシャツが広まる一方でコピー商品が出回り、乱用やパロディなども生まれました。
90年代では80年代で興った様々な変化がうまく混合されていきます。それまで主にカジュアルとして着こなされていたTシャツが山本耀司やジョルジオ・アルマーニらがスーツにTシャツを合わせるスタイルを提案し、ミニマル・ファッションが誕生しました。またこの頃環境問題やリサイクリングなどの関心も高まりTシャツにもオーガニック綿を利用したものが登場しました。
そしてTシャツはカルバン・クラインやダナ・キャラン、ジョルジオ・アルマーニらの提案によってカジュアルフライデーの普及もあり、ビジネスの場でも許されるようになりました。こうしてラグジュアリーTシャツとして数多くのデザイナーが自分たちの個性をこぞってコレクションで発表するようにまでなりました。
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